8.8 難関大合格者は過去問から逆算する

更新日 2021年5月16日


最高の問題集は過去問

過去問は最高の問題集です。

なぜなら過去問は、志望校の試験問題に最もレベルが近く、傾向も似ているから(というかそのものだから)です。

志望校と問題の傾向が似ている問題集を探すぐらいなら、過去問をやった方が早い、ということです。


ある程度の基礎学習を終えたら、過去問を問題集だと思って5~10年分解いてみます。

「ある程度」というのは、過去問が2~3割解ける、または過去問の解説を自力で理解できるレベルです。

初見で2~3割も解けない、または解説を読んでも「何が分からないのか分からない」なら、基礎問題集に戻ります。


ですが、できそうだったら過去問にチャレンジしてください。

例えば英語、国語、社会だけやるとか、基礎学習が済んでいる単元だけをやるとかでもOKです。


進め方としては、間違えた問題だけ最大3巡繰り返すのがオススメです。
<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>

できない問題に限って3回解き、過去問に含まれているエッセンスを完璧に身につけてください。


なお、「同じ問題は二度と出ないから過去問は意味がない」という人もいますが、特に難関大の場合では複雑な問題が多いので、全く同じ問題が出ることを期待して勉強するのは確率が悪すぎます。
それよりは、過去問を繰り返しといて、過去問に含まれるエッセンスを完璧にする方が、高得点への近道だと思います。

それでも「同じ問題が出ることを期待したい」という人は、過去問を早めに終わらせてから、模試や予想問題集や、志望校と同じレベルの問題集を大量にこなすのをおススメします。


繰り返しになりますが、第一志望に合格した人ほど、早い時期に過去問を演習しています。






難関大合格者はゴールからの逆算で勉強する

たしかに基礎学習は大事ですが、基礎学習は永遠に完了しません。

例えば「私は全ての教科の基礎が完璧です」と言える人がいますでしょうか?


時間に限りがある中で、全てを完璧にしようとすると、結果的に高いレベルの問題にまで行きつかないために合格最低点に届かないリスクがあります。

ではどうするかというと、ある程度基礎を積み上げたら、過去問を問題集としてこなし、合格最低点から逆算して点を落としているところを重点的に勉強します。
(※決して基礎をおろそかにしていい、という話ではないのでご注意ください。ある程度基礎が積み上げて過去問で2~3割取れるレベルになったら、という話です)

過去問をやることで「あと何をどのくらいやれば合格最低点に届くか」が明確になります。




「合格最低点 – 過去問演習結果」で各教科の目標点を決める

過去問を5~10年分解いたら、合格最低点にどのくらい足りていないかが見えてきます。

これをもとに各教科の目標点を決めます。

具体的には「合格最低点 ー 過去問演習結果」を、各教科の目標点として振り分けます。



これでどの教科でどのくらい点を上げなければいけないか、がはっきりします。

過去問演習の感触を踏まえ、得意教科/取りやすい教科は高めに、苦手教科は低めにしてOKですが、極端に寄せるのはオススメしません。

余裕が出てきたら、合格最低点+20点、+40点を目標にして、安全圏内を目指します。


ちなみに上のグラフは、実際に東京大学を受けた受験生の、夏の終わり時点の状態です。

高校3年生の春に東京大学を受けることを決めたので、夏の終わり時点でも合格最低点には100点ほど足りていませんでした。

伸びそうな英語は目標を高めに設定、数学は低め、まだ手をつけていない物理/化学は伸びる余地があったので高めに設定しています。

結果的にギリギリでしたが、現役で東大に合格しました。

目標を細かく見える化したことでやることの優先順位が決まり、さらにやる気アップにもつながったのだと思います。




単元ごとの得失点を整理して、伸ばしやすい単元を見つける

これはやや細かいので、必要がある人だけで構いません。

ある教科の単元ごとの得点を整理してみます。

すると、どの単元で得点を落としているかが分かります。



好き嫌いが無ければ、失点(赤字)の絶対値が多いところから順番に克服していくのをオススメします。

落としている得点の絶対値が大きいということは、それだけよく出るということで、かつ自分がそれを解けていないということ、です。

逆に言えば一番得点を伸ばしやすい単元と言うことができます。

上の表の例でいうと積分を克服すれば5年で90点増(平均18点)できる一方で、ベクトルを克服しても15点増(平均3点)だけです。

得点が伸びやすいところから手をつけ、早めに合格最低点を突破することが合格への近道です。

精神的な余裕もできますし、成長が実感できるとやる気も出てきます。



<(参考)長期における教科ごとの優先順位>
伸びやすいところから伸ばす、を原則としつつ、長期スケジュールにおける教科の優先順位についてはどちらかというと社会/理科よりも英語/数学/国語を優先します。

社会/理科は暗記が多いので、直前の追い込みでなんとかなりやすいからです。

また暗記系科目は、試験の直前に暗記することで、記憶が新鮮なままに本番に臨めるという効果もあります。


逆に英語/数学/国語は暗記以外の要素も多いために、直前の追い込みがききにくい教科です。

代わりに一度定着すれば点数が落ちにくいとも言えます。

極端にいうと、高校1,2年までは英語/数学/国語にかなりの時間を集中してしまう、という方針もアリだと思います。



<(参考)同じ問題は出ないから意味ない?>
「同じ問題は二度と出ないから過去問は意味がない」という人もいますが、特に難関大の場合では複雑な問題が多いので、全く同じ問題が出ることを期待して勉強するのは確率が悪すぎます。
それよりは、過去問を繰り返しといて、過去問に含まれるエッセンスを完璧にする方が、高得点への近道だと思います。

まず過去問を知ることで、何を勉強すればよいのかが分かります。

それに仮に過去問10年分のエッセンスを完璧に身につけた受験生であれば、11年目の問題に初見でチャレンジしても多くの問題に対応できるはずです。

それでも「同じ問題が出ることを期待したい」という人は、過去問を早めに終わらせてから、模試や予想問題集や、志望校と同じレベルの問題集を大量にこなすのをおススメします。




<(参考)最新の過去問は本番前のシミュレーション用にとっておく>
受験本番では、できる問題から解く、解く順番を決めておく、1問にかける時間を決めておく、といったテクニックが重要になります。

そのための練習としては、模試を最大限活用します。緊張感に慣れるのにもよいです。

それでも心配な場合、最新の過去問をシミュレーション用に2~3年分取っておき、受験の直前に慣れるために本番と同じ順番、制限時間で解くのをおススメします。



本コラムのまとめ

  • 基礎学習が終わったら、過去問を問題集だと思って5~10年分解いてみる
  • 合格最低点を各教科に配分して、教科ごとの目標点を決める
  • 自分が落としている得点が大きい単元から克服することで、最短で合格最低点を突破する